年末調整、扶養控除等申告書?
【何年分の申告書】
前回に続いて、年末調整の話です。
従業員等の年末調整のために、11月初め~12月初めにかけ、「扶養控除等(異動)申告書」、「礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」、「保険料控除申告書」の3枚を用意し、配布する作業が始まります。
それだけでも大変なのに、年末調整の結果を12月の給与に反映するため、3枚の申告書を回収し、入力・チェック・確認・修正の作業が慌ただしく行われます。
思わず、アメリカみたいに源泉徴収はあるものの、全員が確定申告する制度(米国税理士の収入源?)にすれば、納税や政治意識等も高まるのにと思ってしまいます。
もちろん、年末調整をおこなっている国もあるのですが、例えば、ドイツや韓国、でも、日本みたいに慌ただしくはなく、翌年の3月を目処にしています。
愚痴になりましたね。すみません! 確か、前回もあやまったかあ~。
ところで、3枚の申告書ですが、何年分の申告書が配られるかご存じですか?
今年ならば、令和3年分と考えている方が多いと思うのですが、実は「扶養控除等申告書」のみは令和4年分になっているのです。
これは、法律上、扶養控除等申告書を提出した人は、源泉徴収を低い税率(扶養者等控除を反映)、いわゆる甲で徴収し、扶養控除等申告書を提出しなかった人は、高い税率、いわゆる乙で徴収することになっているからです。
言い換えれば、来年、低い税率、甲での源泉徴収を希望する人は、年末に令和4年の扶養控除等申告書を提出する必要があるのです。
合理的な話なのですが、ここに落とし穴があるのです。
【落とし穴!】
問題となるのが、年の中途に新しい従業員やパートの方を雇用したときです。
皆さん、マイナンバーや社会保険は気をつけているのですが、
例えば、パートで年103万円を希望する方を雇用した場合、「扶養の範囲内ね! 超えないように注意ね! 源泉徴収は88,000円以上の月ね!」という感じで、令和3年分の扶養控除等申告書の出依頼を忘れてしまうのです。
従業員でも同様のことが生じてしまいがちです。
つまり、乙で源泉徴収すべきところを、低い税率、甲で徴収してしまうのです。
この問題、「でもね~、翌年は出しているし、同じじゃん!」と皆さん、思いがちです。私もそう思います。
でも、税務調査のとき、税務署は許してくれません(この問題、主な目的はもっと大きなもの??)。
扶養内の人、103万円でも、不足額が約3万円、これに別途、不納付加算税、延滞税が課税されます。何人もいると痛いです。
しかも、一旦、納税し、対象の人から不足額を徴収し、対象の人の確定申告です。
心当たりありませんか?
うちは大丈夫、税理士さんに任していると思ってはだめです。
忘れている税理士事務所は意外に多いですよ!